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「木曽路」における「松阪牛偽装問題」について考える 〔「松阪牛」にただ乗りしたツケは高くついた〕 [食品表示]

消費者庁は2014年10月15日、
株式会社木曽路(本社:名古屋市昭和区)に対して、
同社が運営するしゃぶしゃぶと日本料理「木曽路北新地店」と「木曽路神戸ハーバーランド店」において、
「松阪牛」を使用していると示す表示をしていたにもかかわらず、
実際には「松阪牛」ではない和牛の肉を使っていたことが確認され、
「景品表示法」(*注①)が定める優良誤認表示に該当する違反表示として措置命令を行い、それを公表しました。

(*注①)
「景品表示法」の正式名は、
不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)。

消費者庁が発行した「景品表示法ガイドブック」を参照すると、
「景品表示法」は一般消費者の利益を保護するために、
不当な表示と過大な景品類の提供を禁止しています。

140627景品表示法パンフレット、ガイドライン (コピー).JPG

今回は、
しゃぶしゃぶと日本料理「木曽路」における
「松阪牛偽装問題」について考えてみたいと思います。

食材偽装 メニュー表示のグレーゾーン

食材偽装 メニュー表示のグレーゾーン

  • 作者: 森田 満樹
  • 出版社/メーカー: ぎょうせい
  • 発売日: 2014/09/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)





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さて、今回の「松阪牛偽装問題」は、
木曽路が8月14日に同社のホームページに
「メニュー表示と異なった食材を使用していたことに関するお詫びとお知らせ」
と題した文書を掲載したことで発覚しました。

同文書を参照すると、

銘柄牛(松阪牛・佐賀牛)のしゃぶしゃぶ・すきやき等とメニューに表示したにもかかわらず、
当該食肉ではない和牛特選霜降肉を「木曽路北新地店」(6,880食)、
「木曽路神戸ハーバーランド店」(245食)および「木曽路刈谷店」(46食)の
3店舗で合計7,171食を販売したことが判明した。
・・・略・・・
社員教育の再徹底と管理体制の強化を行い、再発防止に全力で取り組む。

といったことが記載されています。

和牛特選霜降肉と銘柄牛の差額は1,500円、食数は7,171食。

単純計算すると、
この偽装で約1,080万円の利益となります。

翌8月15日、
木曽路は記者会見を開きました。

東洋経済オンラインの8月16日付記事を参称すると;

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
~料理長4人が店舗の利益を上げるために偽装した。本部は偽装を見抜けなかった。

~記者からの「(銘柄牛として偽装した)和牛特選霜降肉とは?」との質問に対して、
木曽路側は「黒毛和牛の5等級のリブロース、サーロイン。
当社の中では一番高いグレードの肉だ。
その上に位置する商品として、松阪牛がある。
決してグレードの低い肉ではない。
仕入れ価格は公表を控えるが、世の中では最高グレードとして取り扱われている肉だ」、

続けて「問題を引き起こしておいて、こういうことを言うのはどうかとも思うが、
木曽路の店舗で提供しているのは、非常に上質な肉。
味の面では大きな差はない。
とはいえ、「だったらいいだろう」ということはない」と答えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そうです。

この木曽路の回答は、
偽装はしたが悪い肉を使ったわけではないという言い訳ですが、
問題なのは偽装をした(優良誤認表示をした)ことで、
偽装した牛肉が良いか悪いかは問題ではないと思います。

2001年9月に日本で初めてBSE感染牛が確認された後、
牛肉の偽装が次から次へと発覚した時に、
同業者みんなが偽装している、
牛肉の目利きができない消費者には偽装はわからない(ばれるはずがない)といった
食肉業界の悪しき常識が明らかになりましたが、
木曽路にはその悪しき常識が今も残っていたということになると思います。

木曽路は10月10日、
「業績予想の修正に関するお知らせ」と題した文書を
ホームページに掲載しました。

同文書を参照すると、
2015年3月期の決算予想を下方修正しています。

売上高 465.0億円 → 443.0億円
経常利益 16.0億円 → 8.3億円

業績を下方修正したのは、
「松阪牛偽装問題」が発覚したことで
8月中旬以降、来店者数が減少したことが理由だそうです。

そうだとすると、
「松阪牛」にタダ乗りしたツケは
高くついたことになります。



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コメント 6

あるいる

「ツケ」は支払うことをお互いに承知の上での約束ごとですから、
木曽路がしたことは、「ツケ」ではなく確信犯の「食い逃げ」ですよ。
儲けるためならなんでもやる。
企業としての倫理観も矜持もどこかに捨て去ったのでしょう。
食品偽装だけではなく、他の業界でもそんな企業が多いのはかなしいことですよ。

by あるいる (2014-10-25 08:04) 

ちゅんちゅんちゅん

おはようございます!
一時は騒ぐのですが
次々と不祥事が起きて
忘れていってしまう・・・
目先の事件にまず飛びつく
そんな風潮がありますね。
自分もそういったところがあるので情けないのですが。
by ちゅんちゅんちゅん (2014-10-25 08:12) 

wattana

あるいるさん、
タダ乗り(フリーライド)された「松阪牛」のブランドイメージは傷つかなかったと思います。一方、「松阪牛」にタダ乗りした木曽路、長年かけて築いてきたしゃぶしゃぶ・日本料理「木曽路」(118店舗)のブランドは今回の偽装で大きく壊れてしまいました。

ブランドを構築するには相当の時間がかかりますが、ブランドは簡単に壊れてしまいまね(壊れてから気づいたのでは遅い)。

by wattana (2014-10-26 04:19) 

wattana

ちゅんちゅんちゅんさん、おはようございます。
大須の「喫茶まつば」からスタートした木曽路、
しゃぶしゃぶ・日本「木曽路」だけでなく、
(今はありませんが)人気ファミレス「地中海」チェーン、
居酒屋「素材屋」、焼肉「じゃんじゃん亭」などを展開しており、
各レストランブランドが広く認知されています。

売上高だけでなく認知度の点においても、
木曽路が名古屋圏の外食を代表する企業だけに、
今回の銘柄牛偽装は、残念です。
by wattana (2014-10-26 06:32) 

vivian

夏に偽装問題が出た後の枚方店も凄く暇でしたね…
最近は駐車場にも早い時間から車も入っており
持ち直してきたかな?と思っていたのに
訴えられるなんてね…
和食では見栄えも良くて値段も手頃なので
使い勝手が良かったからつぶれてほしくはないんですけどね…(>_<)
by vivian (2014-10-28 12:29) 

wattana

vivan さん、
しゃぶしゃぶ・日本料理の「木曽路」は、
おっしゃる通り使い勝手がよいお店で、
認知度も高いと思います(ブランド力あり)。

今回の問題を猛省して、
出直してほしいと思います。


by wattana (2014-10-30 07:30) 

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