わかりにくい食品表示、~「宇治抹茶」を使った食品~ [食品表示]
消費者庁のホームページに掲載されている「加工食品品質表示基準改正(わかりやすい表示方法等)に関するQ&A」を参照すると、「特色のある原材料」に該当する原材料が次の7つに分類されています (参照:同Q&Aの問25)。
① 特定の原産地のもの
・国産大豆絹豆腐 ・トルコ産へーゼルナッツ使用 ・十勝産小豆使用
・国内産山ごぼう使用 ・三陸産わかめを使用 等
② 有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品
・有機小麦粉使用 ・有機栽培こんにゃく芋から自社生産 ・有機牛肉使用 等
③ 非遺伝子組換えのもの等
④ 特定の製造地のもの
・群馬県で精製されたこんにゃく粉入り
・北海道で製造されたバターを使用等
⑤ 特別な栽培方法により生産された農産物
・特別栽培ねぎ入り ・栽培期間中農薬不使用のにんじん使用 等
⑥ 品種名等
・とちおとめ使用 ・コシヒカリ入り ・本まぐろ入り 等
⑦ 銘柄名、ブランド名、商品名
・宇治茶使用 ・松阪牛使用 ・越前がに入り
・市販されている商品の商品名〇〇を「〇〇使用」 等
スイーツなどに使用される原材料として人気が高い 「宇治抹茶」は、上記の7つの分類の中の ⑦ の例として載っている「宇治茶」に含まれるので、「特色のある原材料」に該当すると考えられます。
さて、次の 「宇治抹茶」を使用した食品の写真をご覧ください。
~ M 製菓の準チョコレート (*注①)です。「宇治抹茶」の前に 「京都」という地名が冠され 「京都宇治抹茶100% 」と強調表示されています。
~ YM 社が製造している抹茶入り乳飲料です。「京都産石臼挽き宇治抹茶」と強調表示されています。
~ AS 社が製造している和生菓子です。「京都産宇治抹茶使用」と強調表示されています。
では、「宇治抹茶」とはどんなお茶なんでしょうか?
「宇治抹茶」という定義は見当たりませんが、社団法人京都府茶業会議所が「宇治茶」の定義を定めています。
「宇治茶」は、京都府南部の山城地域 (宇治市など)が原料原産地 (荒茶の産地)の緑茶ではないんですね (*注②)。
この 「宇治茶」の定義に従うと、「宇治抹茶」とは;
① 原料原産地 (荒茶の生産地) : 京都府・奈良県・滋賀県・三重県
② 加工地 (荒茶を抹茶に仕上げる場所): 京都府
ということになります。
では、上記の3つの写真の食品をもう一度見てみましょう。
「宇治抹茶」の前に 「京都」という地名が冠されていますが、これは荒茶の産地 (原料原産地)も京都府だということ意味するんでしょうか?
つまり、京都府の荒茶を京都府で京都府の業者が「抹茶」に加工した 「宇治抹茶」という意味なんでしょうか?
「宇治抹茶」の様に、原料原産地と加工地が異なることがある加工食品にさらに地名を冠すると、表示された地名が何を意味するものなのかを適切に表示しないと、とてもわかりにくい、紛らわしい食品表示になると思います。
① 特定の原産地のもの
・国産大豆絹豆腐 ・トルコ産へーゼルナッツ使用 ・十勝産小豆使用
・国内産山ごぼう使用 ・三陸産わかめを使用 等
② 有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品
・有機小麦粉使用 ・有機栽培こんにゃく芋から自社生産 ・有機牛肉使用 等
③ 非遺伝子組換えのもの等
④ 特定の製造地のもの
・群馬県で精製されたこんにゃく粉入り
・北海道で製造されたバターを使用等
⑤ 特別な栽培方法により生産された農産物
・特別栽培ねぎ入り ・栽培期間中農薬不使用のにんじん使用 等
⑥ 品種名等
・とちおとめ使用 ・コシヒカリ入り ・本まぐろ入り 等
⑦ 銘柄名、ブランド名、商品名
・宇治茶使用 ・松阪牛使用 ・越前がに入り
・市販されている商品の商品名〇〇を「〇〇使用」 等
スイーツなどに使用される原材料として人気が高い 「宇治抹茶」は、上記の7つの分類の中の ⑦ の例として載っている「宇治茶」に含まれるので、「特色のある原材料」に該当すると考えられます。
さて、次の 「宇治抹茶」を使用した食品の写真をご覧ください。
~ M 製菓の準チョコレート (*注①)です。「宇治抹茶」の前に 「京都」という地名が冠され 「京都宇治抹茶100% 」と強調表示されています。
(*注①) チョコレート製品は、1.チョコレート、2.準チョコレート、3.チョコレート菓子、4.準チョコレート菓子の4つに分類されています。さらに詳しいことを知りたい方は、日本チョコレート・ココア協会が定めた 「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」をご参照ください。
~ YM 社が製造している抹茶入り乳飲料です。「京都産石臼挽き宇治抹茶」と強調表示されています。
~ AS 社が製造している和生菓子です。「京都産宇治抹茶使用」と強調表示されています。
では、「宇治抹茶」とはどんなお茶なんでしょうか?
「宇治抹茶」という定義は見当たりませんが、社団法人京都府茶業会議所が「宇治茶」の定義を定めています。
宇治茶は、歴史・文化・地理・気象等総合的な見地に鑑み、宇治茶として、ともに発展してきた当該産地である京都・奈良・滋賀・三重の四府県産茶で、京都府業者が府内で仕上げ加工したものである。
「宇治茶」は、京都府南部の山城地域 (宇治市など)が原料原産地 (荒茶の産地)の緑茶ではないんですね (*注②)。
(*注②) 社団法人日本茶業中央会が定めた 「緑茶の表示基準」の第2条 (定義)を参照すると、・・・(引用)・・・ この表示基準において、「荒茶」とは、チャの葉から製造したもので仕上げ加工前の茶をいい、「仕上茶」とは、荒茶を原料として仕上げ加工し飲食用に供する状態にした最終製品をいう。 ・・・(引用終わり)・・・ となっています。
この 「宇治茶」の定義に従うと、「宇治抹茶」とは;
① 原料原産地 (荒茶の生産地) : 京都府・奈良県・滋賀県・三重県
② 加工地 (荒茶を抹茶に仕上げる場所): 京都府
ということになります。
では、上記の3つの写真の食品をもう一度見てみましょう。
「宇治抹茶」の前に 「京都」という地名が冠されていますが、これは荒茶の産地 (原料原産地)も京都府だということ意味するんでしょうか?
つまり、京都府の荒茶を京都府で京都府の業者が「抹茶」に加工した 「宇治抹茶」という意味なんでしょうか?
「宇治抹茶」の様に、原料原産地と加工地が異なることがある加工食品にさらに地名を冠すると、表示された地名が何を意味するものなのかを適切に表示しないと、とてもわかりにくい、紛らわしい食品表示になると思います。
抹茶入りと書いてあるだけで
美味しそうと・・・
京都だと頭に刷り込まれています。
でも字が小さくて読みにくいんですよね。
by yoko-minato (2012-05-14 06:24)
お茶=宇治茶のイメージありますね、注意してみるとこのような食品がたくさんあるのでしょうね。
by リキマルコ (2012-05-14 11:26)
イタリアでうってた京都産トマトの苗を思い出しました。
☆
by arles (2012-05-14 13:59)
なぜ,西尾抹茶より宇治抹茶なのでしょうね。。。
by prismiclyon (2012-05-14 19:56)
yoko-minato さん、北海道、京都といったイメージのよい地名が含まれる商品名、「いいものだ」と勝手に連想してしまうことがありますね。
by wattana (2012-05-15 07:13)
リキマルコさん、食品表示を規制する法律には違反していなくても、一般消費者にとって、紛らわしい、わかりにくい食品表示は少なくないと思います。
by wattana (2012-05-15 07:14)
arles さん、京都産トマトの苗がイタリアで売られていたとは、 京都のイメージがいいからでしょうか?
by wattana (2012-05-15 07:15)
prismiclyon さん、「西尾の抹茶」はこれから存在感をさらに示すようになると思います。デザートの原材料として今までも使用されていましたが、「西尾の抹茶」と明記されないことが多かったようです。
by wattana (2012-05-15 07:17)