山田新市さんが書いた「江戸のお茶―俳諧 茶の歳時記」は、江戸期の茶に関わる俳諧作品を紹介しながら、江戸時代にどんなお茶があり、どんな飲まれ方をしていたのかを考察しています。


江戸のお茶―俳諧茶の歳時記

  • 作者: 山田 新市
  • 出版社/メーカー: 八坂書房
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本


「江戸のお茶―俳諧 茶の歳時記」の中で、喫茶店好きのわたしが最も興味があるのは、「10 茶屋のなりわい ―散り残る茶屋はまだあり花のもと」で、次の行で始まります。

茶屋と茶店:茶屋と一口に言っても、意味のその形もいろいろである。茶を売る店の意味から生まれた茶屋の名は、営業する目的によってそれぞれ水茶屋、料理茶屋、編笠茶屋、引手茶屋、芝居茶屋、出合茶屋などいろいろに呼ばれるようになったから、もともとの茶屋の意味は少しずつ薄れたり変化したりしていったかに見える。その点では当今の喫茶店の場合と似ていると言ってよいかも知れない・・・・同書121ページから引用しました。

江戸時代の喫茶文化を考察するにあたり、山田新市さんが江戸期の俳諧を手掛かりにしたのに対し、「土岐市美濃陶磁歴史館」において2015年2月22日(日曜日)まで開催されている企画展

江戸時代における 喫茶碗の変遷

は、喫茶碗の変遷を展観し、それに伴う喫茶(お茶を飲むこと)の大衆化と喫茶の変化を紹介しています。


~ 企画展「江戸時代における喫茶碗の変遷」のチラシです。

さて、2015年1月20日(火曜日)の午前11時頃に、岐阜県土岐市にある「土岐市美濃陶磁歴史館」へ行ってきました。


~ JR土岐市駅から北へ歩いて10分ほどです。


~ 館内は撮影禁止です。

「喫茶の大衆化」のコーナーに鈴木春信・画「笠森おせん」を絵が展示されています。

水茶屋の看板娘のお仙さんが釜で煮出したお茶をお客さまのお侍に提供する場面の絵で、ピラミッド状に積まれた団子も見えます。山田新市さんが書いた「江戸のお茶―俳諧 茶の歳時記」にも、「笠森おせん」の説明が載っています。

江戸の水茶屋の全盛期は宝暦から寛政にかけてで、茶汲み女と呼ぶ「看板娘」がいたことは美人画などで知られているが、・・・(略)・・・ 茶屋の中でも、春信の錦絵に描かれている評判を取った上野谷中の笠森稲荷神社そばの水茶屋のお仙や・・・(略)・・・ などの別嬪がいたと伝えられている。 ・・・同書123~124ページから引用しました。

鈴木春信・画「笠森おせん」に描かれている水茶屋、文字通りの「喫茶店」です。

☆ 「土岐市美濃陶磁歴史館」(岐阜県土岐市泉町久尻1263番地)
☆ 2015年1月20日(火曜日)午前11時頃利用