「水無月」は、三角形をした外郎生地の台に小豆を重ねた京都の行事菓子です。


~ 京菓匠「笹屋伊織」の「水無月」、2017年6月15日撮影。

三角形をした白い外郎は暑気払いの氷を表していて、赤い小豆は邪気払いの意味があるそうです。

虎屋文庫の機関誌「和菓子(第9号)」(2002年3月20日発行)に載っている和菓子研究「水無月考」(浅田ひろみ・著)を参照すると、浅田ひろみさんは、かつてはいろいろな形の「水無月」があったのが、三角形の「水無月」だけになった理由を「京都の和菓子屋が6月30日の行事菓子に6月1日の行事を結び付けたから」と推察しています。

浅田ひろみさんがこの推察の参考にしたのは、菓匠会同人「三條若狭屋」二代目当主・藤本如泉さん(明治28年生まれ)が書いた「日本の菓子」(1968年7月10日河原書店発行)の次の文です。

お菓子の「水無月」は、生菓子の「氷室」より考案されたもので、加茂の水無月祓の神事にこじつけて、京都では、毎年6月30日に暑気払いのおまじないとして市民が頂くように、菓子屋の知恵で創られました。(「日本の菓子」206ページより引用。)







さて、6月30日の夏越の祓にちなむ行事菓子の「水無月」ですが、5月から「水無月」を販売する和菓子店(特に餅屋)があります。

ジェイアール名古屋タカシマヤ地下1階にある京都の和菓子屋「仙太郎」は、5月の大型連休明け頃より「水無月」を販売しています。


~ 2018年6月4日(月曜日)に購入した仙太郎「みなづき(水無月)」。



商品についていた和菓子歳時記「みなづき(水無月)」に次の行があります。

・・・(略)そこで誕生したのが「みなづき」。氷の結晶に似せた三角のお菓子。台は外郎で氷をあらわし、上には小豆を散らして魔除けの意とした。(豆が魔滅に通じる処からか?)


2018年6月2日(土曜日)に訪ねた滋賀県長浜市木之本町の菓子乃蔵「角屋」でも、「水無月ういろ」を販売していました。




~ 今宮神社の夏越祓、2015年6月27日撮影。