「食品表示」は、
私たち消費者が食品を選択するときに
参考にする大切な情報です。

「食品表示」が間違っていれば、
正しい選択ができないことがあります。

また、
「食品表示」をしっかり読まないと、
間違えた選択をすることがあります。

「食品表示」には、
製造者/販売者が任意で表示できる任意表示と
法律で規定されている義務表示があります。

それでは、
私が最近買った
「ゆであづき (缶詰)」の
表示を見てみましょう。

◆任意表示 (缶の上蓋の表示)


任意表示から次のことがわかります。

~ 北海道十勝産小豆だけを使用している (100%と記載がある)
~ 三温糖を使用している (使用割合の記載なし)

それでは、
缶の側面にある義務表示 (一括表示)を
見てみましょう。

◆義務表示


義務表示から次のことがわかります。

~ グラニュー糖と三温糖の2種類の砂糖を使っている (三温糖だけではない)
~ グラニュー糖と三温糖では、グラニュー糖の量が多いと思われる (*注①)

(*注①)
 JAS法が定める 「加工食品品質表示基準」は、
 原材料名の記載に関して
 ~ 原材料に占める重量の割合の多いものから順に ~
 記載することと定めています。
 なお、グラニュー糖と三温糖の量が同じの場合も考えられますが、
 その場合は、‘砂糖 (三温糖、グラニュー糖)’と、
 消費者が品質が高いと思う可能性が高い
 ‘三温糖’を先に記載すると思います。

次に、
野菜果実ミックスジュース (ラ・フランスミックス)の
表示を見てみましょう。

◆任意表示 (表面にある表示)


この任意表示から次のことがわかります。

~ 山形産ラ・フランスを使用している (使用割合の記載なし)
~ 野菜汁と果汁の比率は50%:50%である

◆義務表示 (裏面の一括表示)


義務表示を見ると次のことがわかります。

~ 使用している果実は、ラ・フランス (西洋なし)だけではない
~ 使用している果実は、使用量の多い順にりんご、レモン、西洋なし (*注②)である

(*注②)
 一括表示欄の原材料名欄では、‘ラ・フランス’という西洋なしの品種名ではなく、
 ‘西洋なし’と記載されています。
 これは、JAS法が定める 「加工食品品質表示基準」が原材料名を記載する場合、
 ~ その最も一般的な名称をもって記載すること ~ 
 と定めているからだと思われます。

このように、
任意表示だけを見るだけでは、
製造者/販売者から提供されている
すべての情報を入手することができません。

「食品表示」として提供されている
すべての情報を入手しなければ、
正しい選択ができない可能性があります。

スーパーマーケットなどで
食品を選択するとき、
価格、任意表示だけを見て判断しないで、
義務表示 (一括表示)も見るようにしたいですね。


 ~ 表 (任意表示)だけでなく、裏 (義務表示)も見よう! ~


(追記)
 任意表示において強調している原材料については、
 その使用割合を記載して欲しいと思います。
 
 「食品表示」に望まれるのは、
 巧みな表示ではなく、
 消費者にとってわかりやすい表示だと思います。



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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央法規出版
  • 発売日: 2010/10
  • メディア: 単行本