山田新市さんが書いた「江戸のお茶―俳諧 茶の歳時記」を読むと、江戸時代の茶屋は、営業する目的によって水茶屋、料理茶屋、編笠茶屋、引手茶屋、芝居茶屋、出合茶屋などに分かれていたそうです。


江戸のお茶―俳諧茶の歳時記

  • 作者: 山田 新市
  • 出版社/メーカー: 八坂書房
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本


江戸時代の茶屋について「茶を出して茶銭を受け取るという茶屋のイメージは、来客へのもてなしという考え方を下敷にすればさまざまに展開が可能だった」(同書124ページ)という山田新市さんの鋭い指摘は、現在の喫茶店にも当てはまると思います。

すなわち、コーヒーを中心とした飲み物などを提供する喫茶店は、「飲み物・料理の提供+接客」という視点でとらえると、日本料理店、カレーハウス、ステーキハウス、ケーキショップなどへの業態転換の可能性があるといえます。

ワンフレーズに言い換えると、「喫茶店は、飲食店~外食産業の原点」。

名古屋の喫茶店 完全版

  • 出版社/メーカー: 星雲社
  • 発売日: 2019/04/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



さて、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、名古屋圏に本社がある外食企業の中に喫茶店出身の企業があります。

しゃぶしゃぶと日本料理の「木曽路」などを展開している株式会社木曽路(本社:名古屋市昭和区)は、名古屋・大須の「まつば喫茶」からスタートしました。


~ しゃぶしゃぶと日本料理の「木曽路津島店」、2015年2月10日撮影。

カレーハウス「CoCo壱番屋」などを展開している株式会社壱番屋(本社:愛知県一宮市)は、喫茶店「バッカス」が原点。


~ カレーハウス「CoCo壱番屋名鉄岐阜駅前店」、2015年2月24日撮影。

ピッツェリア「マリノ」などを展開している株式会社マリノ(本社:名古屋市名東区)は、長久手の「喫茶サンライズ」が前身です。


~ 「ピッツェリア マリノ 岐阜市橋店」、2015年1月17日撮影。

コーヒー&ケーキ「ハーブス」などを展開している株式会社重光(本社:名古屋市東区)は、名古屋・池下の「喫茶メルローズ」が原点です。

ハーブスと私―HARBS誕生物語

  • 作者: 山田 幸枝
  • 出版社/メーカー: JPS出版局
  • 発売日: 2008/10
  • メディア: 単行本



~ 「ハーブス栄本店」、(ちょっと古い写真です)2012年8月1日撮影。

このほかに、ステーキハウス「ブロンコビリー」は「喫茶トミヤマ」が前身など、「喫茶店は、飲食店~外食産業の原点」を示す実例が名古屋圏には多いと思います。


名古屋の喫茶店 完全版

  • 出版社/メーカー: 星雲社
  • 発売日: 2019/04/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)