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「銘柄茶」とは? [食に関する情報]

 「銘柄茶」の名称は基本的に、産地、品種、イメージなど、その命名(ネーミング)は自由に行われてよいものですが、一般消費者が著しく優良だと誤認するような誇張、誇大した表示にならないようにしなければなりません。

 また、既存の「銘柄茶」に極めて類似した名称(=フリーライド/ただ乗り)は避けるべきです。さらに、名称中に「品質」、「安全性」を示すものは合理的な理由がない限り避けるべきです。


茶の事典

茶の事典

  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2017/09/15
  • メディア: 大型本



 さて、全国茶生産団体連合会と全国茶主産府県農協連連絡協議会が運営管理するウェブサイト「茶ガイド」において紹介されている「都府県の茶産地と銘茶」、一般社団法人本場の本物ブランド推進機構「本場の本物」認定品目、特許庁「地域団体商標」登録案件および農林水産省「地理的表示保護制度(GI)」認定産品を参照して、現在流通している「銘柄茶」を分類すると、「原産地(荒茶の産地)+『茶』」から構成される産地銘柄がほとんどです。

・産地銘柄 :狭山茶、静岡茶、西尾の抹茶、伊勢茶、八女茶、知覧茶など
・品種銘柄 :やぶきた茶
・栽培法銘柄:伊勢本かぶせ茶
・製法銘柄 :宇治茶(産地銘柄ではない)、深蒸し掛川茶、焙炉式八女茶
・イメージ他:四方の春(伊藤園の登録商標)、不帰(かえらず)

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~ のぼり旗「西尾の抹茶」、「稲荷山茶園公園」(西尾市上町稲荷山)で2019年10月4日撮影。

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~ 看板「朝宮茶主産地」、滋賀県甲賀市信楽町上朝宮で2018年12月27日撮影。

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~ (「不帰」という地名伝説から縁起のよいお茶と言われる)看板「不帰茶(かえらずちゃ)」、岐阜県不破郡垂井町で2020年4月10日撮影。

 上記の「銘柄茶」の中で認知度がずば抜けて高い「宇治茶」は、「宇治」という地名を冠していることから、宇治市産または宇治市がある京都府産のお茶を示す産地銘柄だと認知していする一般消費者がほとんどだと思います。

 しかし、公益社団法人京都府茶業会議所の「宇治茶」の定義と地域団体商標登録された「宇治茶」の指定商品を参照すると、「宇治」は、お茶の産地ではなく「宇治茶製法」を指していることがわかります。

■京都府茶業会議所による「宇治茶」の定義
>宇治茶は、歴史・文化・地理・気象等総合的な見地に鑑み、宇治茶として、ともに発展してきた当該産地である京都・奈良・滋賀・三重の四府県産茶で、京都府内業者が府内で仕上加工したものである。ただし、京都府産を優先するものとする。※下線は wattana が引いた。(出所:公益社団法人京都府茶業会議所ホームページ)


■地域団体商標「宇治茶」の指定商品
京都府・奈良県・滋賀県・三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶。(出所:特許庁ウェブサイト「地域団体商標検索ページ」)


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